秘密と偶然の名
リアルの出来事を中心に、自作小説等を載せています。
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2人目の悪魔 3
「ここです」
 全身黒い服を着た黒髪の仮面の男が通されたのは、暗くてやや湿った空気の場所であった。頑丈な作りであり、砲撃でも受けない限り、壊れる心配はなさそうだ。
 それもそのはず、此処は罪人を閉じ込めるための牢屋であり、簡単に壊れないよう建造に使えるO・Hを持つ者達が作り上げた、砦にも匹敵するほどの強度を誇っている場所なのだ。
「しかし、反コルド連盟のお方が、こんなに早く来ていただけるとは思いませんでした」
 仮面の男を案内してきたのは、このサヌ村の村長ことジーマ・ニルスツだ。ジーマは右手に持った蝋燭で牢屋の内部を照らしつつも、穏やかな顔をしながら仮面の男に話しかけている。
 反コルド連盟とは、コルドに反対意思を持っている集団の総称の事。反コルド四大国もこれに入る。
「それにしても、シルグ様はお一人で行動していらっしゃるのですか? てっきり私どもは、ある程度の小隊を組んで訪れるものだと思っておりまして」
「今はそんな事はどうでもいい。それより、リィーキ大神官の様子が聞きたい」
 仮面の男ことシルグは、ジーマの質問は一切無視し、淡々とした口調で自分の質問だけをする。仮面なので、どんな表情かは分からない。
「ああっそうでした……申し訳ありません!」
 ジーマは余計な質問をし過ぎたと、脂汗を流しながら頭を下げる。
「リィーキ大神官は、目を覚ました後、暴れる事も無く静かに牢の中で座っております。教会の大神官というくらいなので、もう少し怖い方なのかと思っておりましたが、至って従順(じゅうじゅん)です」
 質問された通りの回答をし、シルグの様子を恐る恐る伺う。
「そうか」
 しかし、シルグは再び淡々とした口調で一言返すだけであった。
「……では、リィーキ大神官の所へお連れ致します」
 先だってジーマが歩き出すと、シルグは無言で後を着いていった。
 ここの牢屋は、まるで地下作られているのかと思うほどに光が射さない。そのため、薄暗く湿っている。今二人が歩いている通路は、さほど長くは無いのだが、昼でも暗いために足元を確認しながら歩く必要がある。お陰で歩くのが遅くなるのだ。
 それほど長い距離を歩く事は無かったが、移動が遅い分少し長く感じる。だが思ったよりは早く、1つの牢屋の前でジーマは立ち止まった。牢屋の中を蝋燭の光で照らす。
 そこの牢には、壁に寄りかかって座っている、大柄な男が1人だけいた。この男が、バリセラスが倒し、このシルグという仮面の男が用のあるリィーキ大神官こと、リィーキ・シジンだ。
 バリセラスに斬られた身体の傷は、O・Hなどでは治していないらしく、ただ包帯で巻いてある。完全に治しきらないのは、逃げ出さない為の保険か何かだろう。包帯は薄っすらと血が滲んでいる。
「何だ、何か用なのか?」
 リィーキは、牢屋の前にジーマとシルグが立つと、自分から話しかける。
「そうだ、お前に用がある。……ジーマと言ったな、しばらく席を外してくれ。部外者に聞かれるわけにはいかない」
 シルグはジーマに退室をするように言い渡す。ジーマは、「はいっ、分かりました!」と少し慌てて、蝋燭を下に置いた後、逃げるようにその場から立ち去った。
 ただ退出を命ぜられただけで、逃げるように出て行くのもおかしな話しだ。だがシルグは何故か、とてつもない殺気を放っている。戦闘訓練も受けていないような凡人たるジーマには、あまりに重すぎる気配だ。逃げるように立ち去るもの頷ける。
 ジーマが立ち去ったのを確認すると、シルグはリィーキの方を向く。
「聞きたいことが有る」
 リィーキはシルグを見上げた。仮面のお陰でどんな顔なのかは知ることが出来ないが、瞳から覗く目が持つ威圧感は、放っている殺気をも空気に感じられるほどに、冷たく鋭い。
 バリセラスとの一戦があった所為か、負けた事で吹っ切れたのか、リィーキは殺気を受けても恐怖心を抱くことなく、平然としている。
「……負けた大神官に、何か用かよ。教会を任されていた身だったが、重要機密情報なんて持ってないぞ」
「こちらが訊きたいのはそんな事ではない。蒼髪の悪魔を、なぜ大教会総司の所へ行かせる様な事を言った」
 シルグのこの問いに、リィーキは何故か、微かに口元を綻ばせる。
「どうした。何が可笑しい」
「いや、あのガキが蒼髪の悪魔だと間違っていなかった事に対して、個人的に喜んだだけだ」
 そう言うと、リィーキは立ち上がる。リィーキの身長は186cmなのだが、シルグはそれより5cm以上は低い。180cmに届くかどうか、くらいの身長だろう。
リィーキは大柄ではあるが、見た目は意外にスマートな体型をしている。
「……蒼髪の悪魔と知っていて、わざと大教会へ行く様に仕向けたのか」
 シルグは上から見下げられている形になったとしても、その殺気と瞳が持つ威圧感が弱まる事は無い。むしろ、リィーキの言葉を聞いて、余計に殺気が増したとさえ感じる。
「いくら強いからといって、単独で大教会を破壊出来る訳が無い。蒼髪の悪魔って言えば、コルドからしてみれば敵だろ。大教会に行かせれば、捕まってそれで終わりだ」
「解せないな。いくら勝てる自信があるとはいえ、自らの妹がいる教会へ、危険な相手を送り込むのだ。そんなに簡単な動機ではないだろう」
 『妹』という言葉を聞いた瞬間、リィーキも殺気を放ちシルグを睨んだ。だが、直ぐに思いなおしたのか、軽く頭を振るって気を静める。
「……さすがは反コルド連盟の使者って所だな。よく調べたもんだ」
「リーアの大教会総司も、お前にとっては大切な親友だとも聞いている。私にはなおさら不可解に感じた。だから訊きたい、何故蒼髪の悪魔を、大切な人たちがいる場所へ向かわせたのだ」
 殺気は相変わらずだが、シルグの言葉は真剣であった。本人は無意識なのかもしれないが、殺気に含まれる怒りの他に、どこか悲しみのような感情が込められている。
 怒りはコルドに向けたものであろう。しかし、一体その悲しみは何に対して向けられているものなのか。蒼髪の悪魔になのか、それとも悲しみさえもコルドに向けられているのか。
 問うた所で、シルグと名乗っているこの男は、何も答えはしないだろう。問わずとも分かるのは、この男が並々ならぬ決意を抱いて行動しているという事だ。単にコルドを嫌っているだけなのであれば、こんな殺気を放ちながら、別の感情を表すことなどで出来はしまい。
 リィーキはシルグの鋭い瞳を、何も言わずじっと見つめた。もちろん心の中を読むような事は出来ない。見ているのは、この男と、その瞳に写っている自分の姿だ。
 どちらも無言のまま、数十秒が経過する。リィーキは一度目を伏せ、そして再びシルグの目を見た。
「……答えてやる代わりに、一つ俺の頼みを聞いてくれないか」
「内容による」         
リィーキの視線を真っ向から受けながら、シルグは次の言葉を待った。
「俺を……お前と一緒に行動させてくれ」
 仮面から覗くシルグの瞳は、訝しげに細められた。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味だ。お前が成そうとしている事、それに俺も付いていきたい。場合によっては手伝わせてくれ」
 少しの間を空けた後、細められていたシルグの瞳は、逆に見開かれた。
「何を企んでいる。そもそもお前は囚われている身なのだぞ、そんな自由が許されるとでも思っているのか」
「そっちが何言ってるんだよ。確かに今俺は牢屋に入れられているが、コルドの大神官ってだけで捕らえられるような法は、サミナルコには無い。特に犯罪行為をやってたって訳でもないんだからよ」
 サミナルコにとって、コルドは嫌われた存在ではあるが、飽く迄も宗教であり、犯罪行為をするようなことは無い。更にコルドは、殆ど1つの国として機能している程に、独立している部分さえ存在する。
「実際に犯罪行為って言えば、この村の人間が俺をこうやって閉じ込めておく方が、よっぽど犯罪なんじゃないのか。どうすれば良いか分からないから、反コルド連盟の人間を呼んだんだろ?」
 反コルドを掲げているサミナルコとて、コルドの信者や神官を裁く事は出来ない。献金の類も、飽く迄竜以外の脅威から村を守るための資金、という解釈なのだ。
 強いて言うのであれば、竜を殺せば高い罰金を取られるという事くらいであるが、これは国際法としてほぼ全ての国で定められてしまっている。
 コルドの象徴というものあるが、自然界での食物連鎖の上位に存在する竜は元々数が少ないので、種の保存という大義をコルドは掲げている。
 国の事情にも寄るが、昔は竜を乱獲していた時代も存在する。ただし、人間に乱獲された程度で絶滅するほど、竜と言う種族は決して弱くない。むしろ放っておけば人間の方が危うくなる事すらある。その為サミナルコの様な反コルド国の内では、コルドの目が光っていない限り、竜は食用として扱われているのだ。
「……確かにその通りだ。村の中だけでは、大神官をどう扱えば良いか分からない為、反コルド連盟に預けようとした。しかし、いくら反コルド連盟であったとしても、コルドから返還要求を出されれば、それを断る事は出来ない」
「なら此処から出ても、問題ないはずだろ」 
 リィーキが言う通り、彼が此処から出る事に対しては、なんら問題が無いのだ。しかし、だからと言ってリィーキの申し出をそのまま受ける事も出来るわけが無い。
「……なら、一体何がしたいのだ。お前は下手な動きをしない限りは、コルドへそのまま帰還する事ができる。しかもお前はその事を良く分かっている。なら何故私に付いてくるなどと言う。私を手伝うなどと言う事がどういうことか、まさかその意味がわからない訳でも無かろう」
 リィーキはコルドの大神官。そのリィーキが反コルド連盟の人間であるシルグに付いていき、手伝う。それはつまり、リィーキにとっては完全に逆の立場の人間に与するという意味である。つまりは。
「反逆行為だな、どう考えても。コルドに見つかったら、即座に大神官の位は剥奪されて、行動内容によっては即死罪だ」
 口元を緩ませ、自嘲気味な笑みを浮かべながら、リィーキは軽い口調で答えた。
 大神官が敵対相手の仲間入りをするという事は、今まで自分が使えていた組織を否定する事だ。当然ながら、それが許された行為である筈が無い。
 極端な妨害行為を行わない限り、反コルドに与していただけで捕らえられる事は無い。しかしコルド神官などであれば話は別だ。教会に所属している人間の処罰は、コルドが独自で下せる。当然、敵側に渡った神官など裏切り者でしかない。
「信用できない。コルドは宗教、神官になると言う事はコルドを妄信する程でなければなることは出来ないのだろう。そんな人間を仲間として向い入れる事が、何故出来る。敵に負けたからと言って、相手の持ち駒になるとでも言うのか? これはゲームではないのだぞ」
 シルグの行っている事は正しい。反コルド連盟はコルドに対して怨恨や、最低でも嫌悪感があるからこそ所属しているもの。コルドを盲信している相手を、どうして受け入れられようか。
「元々はコルドに敵対するために、コルドに入ったとでも言うのか?」
 そう言われ、自嘲気味な笑みを浮かべていたリィーキの顔は、真剣な顔へと変わっていく。少しの間を置いてから、重々しく口を開いた。
「コルド神官に成り立ての頃は、そりゃもう盲信してたよ。武力を持って武力を制し、戦争を根絶させるっていう、その理想に。だから俺は今まで力を付けて来た。俺達が強くなれば強くなるだけ、戦争を抑圧出来るんだ、ってな」
「では、何故それを今になって否定するのだ。ただ負けたから、弱いからと言って直ぐに切り替えるほど、お前の信仰は薄いのか?」
「違うんだよ」
 リィーキは立ち上がると、シルグに背を向ける。そして、牢の壁に思い切り拳を叩き付けた。
暗い牢屋の中に、まるで大砲の弾でも命中したかの様な重々しい音が鳴り響く。自らの能力『身体を鋼に変える』O・Hを使用しているのか、その拳に傷は無いが、叩きつけた場所は拳の形にめり込んでいる。逃げる様子が無いと判断されたためか、手錠(スィール・パルス)は外されているようだ。
「俺はこんなナリだが、人間同士の争いごとってのは好きじゃないんだ。流血沙汰なら特にな! だから戦争根絶を理想としているコルドの神官になった。だが実際はどうだ。武力を武力で押さえ込んだって、結局はそれ自体が争いごとだ。そして、いくら種の保存って名目があるって言ったって、今竜に襲われている村すら助けられない。こんなふざけた事があるか? そう考えるようになってからは、自己嫌悪に陥ったさ。だが、そう思うようになった頃には、大神官に就任していた。そう簡単に後戻りは出来なかったんだよ」
 リィーキは何度も何度も拳を壁に叩きつけた。しかもあまりの威力に、建物ごと揺れており、全体からミシミシとひび割れるような音が聞える。だがシルグはその様子を、何も言わずに眺めている。リィーキはシルグが何も言わない所為か、拳を更に叩きつけ、轟音を発し、少しずつ声を荒げて、叫ぶように言葉を続ける。
「もっと上り詰めて、コルドそのものの方針を変えてやろうと考えた事もあった。だが、こんな田舎の大神官風情が、そう簡単に上り詰められるわけが無い。だから、少しずつ陰で、反コルドを支援してきた。せめてこのサヌ村だけでも平和に暮らせる様にと、俺なりに考えて行動していた」
 叩き続けてきた拳を止め、ゆっくりと下げた。再びシルグの方を向くと、リィーキは近くまで歩いてくる。
「そして結局、ろくな事が出来ないままに蒼髪の悪魔とやらに負けた。教会が襲われた時は、此処を守ろうと戦ったが、今考えると俺には戦う理由が無かったんだ。だから俺は今、こうして反コルド連盟に所属しているであろう、お前に頼んでいるんだ」
 リィーキは、シルグの仮面の裏に見える瞳を、真摯に見つめた。無意識の内にO・Hを発動して拳を握り締めているのか、右手から金属が擦れる様な音が、狭い牢屋に響いている。
「……駄目だ。いくらコルドに敵対しようと考えたとは言え、親友と妹を敵に売るような人間を、仲間として認める訳がないであろう」
「敵に売る? ああ、そうか。そうだな、確かにそう思えるな」
 シルグの言葉に対して、一瞬何事か分からない様な表情をしたリィーキであったが、意味を理解した後は勝手に納得し、笑みを浮かべている。
「……私は何か、笑われるような事を言ったか?」
「いいや、そうじゃねえよ。だから言っただろ、俺の頼みを聞いたら教えてやるって」
 リィーキの考えが読めないシルグは、仮面で実際の表情は分からないものの、逡巡(しゅんじゅん)している様子だ。
 何を考えているのか分からない大神官を仲間にするというリスクを犯して、その分からない事を聞く。冷静に考えれば受け入れる事は出来ないのだが、この大神官の顔は、あまりにも真剣過ぎる。
「どうするよ」
 しばし押し黙って熟考し、シルグは自分なりの譲歩案を考えた。
「……ではこちらからも条件を……」
「シルグ様――――――!」
 シルグがようやく譲歩案を出そうとしたまさにその時、先ほど退出したはずのジーマが、血相を変えて戻ってきた。
 その姿は顔面蒼白で全身震えており、リィーキが思わず「こいつ生きてるのか?」と零したくらいに、恐れおののいている。
「どうした。今は些末事に手を焼いている暇は無いのだが」
「竜が、それも大量の竜が!」
「竜がどうかしたか。此処の教会はもう機能していない。殺したければ殺せばいいだろう」
「しかし、大量の竜が!」
 あまりにジーマが慌てふためいているので、仕方なく事情を聞きだそうとするシルグであったが、当のジーマが「竜が」と連呼するだけで全く役に立たない。
 どうしたものかと考えながら、ふとリィーキを横目で見ると、難しい顔をしてうつむいていた。
「どうした?」
「大量の竜……まずいな」
 どうやらリィーキは、ジーマが騒いでいる大量の竜に心当たりがあるらしい。
「教会で監視していた竜が逃げたんだな。やばいな、あいつらをこの村の自警団程度じゃ無被害で抑えるのは無理だ……」
「待て、何をするつもりだ!」
 リィーキは何か思い立ったらしく、牢屋の鉄格子を掴むと、力任せに曲げ始める。シルグが止めようとするものの、余程の腕力があるのか、直ぐに人一人分が通れるほどの隙間が出来上がった。
「止めに行く」
 リィーキは自分で作り出したその隙間から、牢屋の外へ出ようとする。
「止めに? おい!」
 シルグが静止しようとするが、リィーキは全身を鋼に変えて全力疾走し始めたのだ。これを素手で止めるのは無理どころの話ではない。下手に近づけば跳ね飛ばされるだろう。
「勝手は許さん。幻光……」
 自らのO・Hを放って、爆走するリィーキを止めようとするが……
「シ……シルグ様……」
 リィーキが走っている方向には、ジーマが棒立ちしている。加えてここは牢屋の狭い通路なのだ。リィーキは上手くジーマを避けて走って行ったが、的確に力を放たなければジーマという余計な一般人まで巻き込んでしまう。更にはリィーキの身体は鋼であり、並大抵の攻撃では弾いてしまう。ジーマがどんなO・Hを保有しているかは分からないが、リィーキの様な防御力の高い人間相手に有効な程の高威力な力を放ったとして、ジーマがそれの余波に耐えきれるかどうかも分からない。
「……ック!」
 シグルはO・Hの発動を止め、リィーキの後を追う。

――ズゴォォォオン――

 建物全体に、大砲の砲撃を食らったような音が響く。リィーキが壁を体当たりでぶち破ったのだろう。鋼の体当たりだ、実際に大砲の砲撃を食らうのと大差ない。
 大急ぎでリィーキの後を追ったシルグは、今の体当たりで出来た穴から外へ出る。
「……こいつらは……餓竜(がりゅう)か……?」
 外へ出たシルグの目に映ったのは、十数体はいるかと思われるほど大量な竜であった。
 この竜たちの正式名は「ハガラズ」、別称が「餓竜」。
身長は人間よりやや大きい程度で、二足歩行。その体躯は強靭であり、爪は鋭く長い。強力な顎と牙を持ち、肉食で凶暴。しかも群れを成して襲ってくる。
 餓竜という別称の通り、食欲があまりに強く、餌が無かった場合などは共食いする事も多い竜だ。その分、頭は弱いので本能に任せて突っ込んでくるだけではあるが、群れで襲い掛かってくるので、狙われたら逃げ場は無いに等しい。
「何故餓竜が、こんなに村の近辺にいるのだ」
 本来ハガラズは、人里周辺には存在しない。危険生物なので、もし近くにガラズが生息している場合は、先に駆逐しておくか、村などを作るのを諦めるのが普通だ。
「……疑問を口にしている余裕は無さそうだな」
 見ると、リィーキが一頭のハガラズを身体全体で押さえている。村の自警団も、所々で応戦しているようだ。
「見ているだけと言う訳にも、いかないようだ」
 シルグも地を蹴り、村を蹂躙しようとしているハガラズの群れへ走っていった。


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