秘密と偶然の名
リアルの出来事を中心に、自作小説等を載せています。
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白銀の檻
いつもなら午前6時にならないと起きないんじゃが、何故か早々と目が覚めて午前3時半過ぎくらいに目が覚めた。

時間まで寝ようかと横になっていたが、中々寝付けなかったため時間になるまで待つ事にして、適当に時間を潰していた。

しかし風が強い。部屋の中に居るというのに、轟音にさえ思うほど強風の音が聞える。

そんな訳で、普段なら午後6時20分程度に家を出るんじゃが、今日は10分早めて6時10分に家を出た。

・・・・吹雪なんじゃが、風で雪が全然積もっていない。全て吹き飛ばされているので、道路にはサラサラの粉雪がある程度。車の雪を払い落とそうとしたが、あまりに風が強いので寒かった為、軽く払っただけで車に乗り込む。

幸いそれほど凍り付いてはおらず、直ぐに車は走行可能となった。

時間も十分余裕があるので、ゆっくりと車を走らせる。

吹雪のお陰で視界は悪いが、なんとかなると思いつつ出勤。すると、前方にハザードを焚いた車が変な位置で停止している。

何せ道のど真ん中に、やや斜めに曲がりながら。右端に寄せようとして止まった感じか。

その場所は酷く視界が悪く、1メートル先すら見えない。ただ前方のハザードを焚いている車が薄っすらと確認できるくらいだった。

邪魔だと思いつつ、左側に車を寄せて通り抜けようとした。すると、不意に車の動きが鈍り、やがて完全に停止してしまった。

アクセルを踏んでも進まないし、バックに入れても戻らない。

なんと、車が雪に埋もれてしまって完全に身動きが取れない状況に陥っていた。

その場所は、わしが通っていた中学校近くの道路であり、右側は全て田んぼ。そしてその田んぼのずっと先に中学校が建っている。左側は住宅。

図だとこんな感じ。

家|道|田田田田|道|学校|道|

わしの位置は一番左側の道。

つまり場所が悪い。右側は田んぼで風が吹き曝し状態になっているが、左側は家で風が通り抜けられない。その為、道は吹き溜まりとなっていた。

雪はそこに溜まって行き、結果的に山になってしまっていた。場所によっては膝の位置まで積っている。

身動きが取れないので、状況を確認しようと車を降りようとした。

運転席側から普通に降りようとドアを開けようとすると、ドアが風によって吹き飛ばされて勢いよく開いた。一瞬ドアが壊れるかとさえ思ったな。

とにかく一旦外へ出て、車のドアを閉める。しかし・・・・目も開けられないほどに酷い暴風。

前に留まっている車も、雪に嵌って動けない状態らしい。だから不自然に停車しているんじゃろうな。

とても脱出できそうにない。仕方なく車へ戻るが、それだけで難儀するほどに動けない。ドアが吹き飛ばされないように掴んでいるだけで精一杯。

このままという訳にも行かないので、携帯を取り出し、自宅へ電話する事に。
まだ時刻は午前6時半にもなっていないので、誰かが起きている事を祈るしかない。

・・・・ただ、一度外へ出て状況を見ただけで頭が真っ白になり、一体何処に電話をすればいいか分らない状態。携帯に登録されている電話帳を眺め、数分後何とか自宅に電話をかけられた。

父親が起きていたらしく、案外早く繋がる。

一先ず、場所と状況を説明し、もう一度状況を確認してから再び電話をすると言い、電話切った。

次に、ほぼ間違いなく仕事には間に合わないので、職場へ電話。鞄に入っている職場のセキュリティーカード(要するに通行証)に入れてある、連絡表を見て管理と職場へ電話。

管理は時間が時間な上、日曜日という事もあって休み。その為出なかったが、職場への連絡はした。
そこでも状況と場所を言い、遅刻するという事も伝える。

そうしてもう一度外へ。今度は助手席側のドアから出ようとしたが、運転席側よりはマシではあったがこちらも酷い風でドアが勢いよく開こうとする。なんとか手で押さえつつ、ゆっくりと外へ。

・・・・・少し手で掘ろうとしたが、無理にも程があった。そして風で身体が飛ばされるので立っていられない。
一旦車を離れ、左側の住宅の敷地へ入り、そこの壁に避難。風が少しでも弱まったのを見計らって、車へ戻る。

ドアを開けるたびに大量の雪が入り込むので、中も雪だらけ。そして数分も外に居ないというのに、体温がごっそり持っていかれ、震えが止まらない。

一応ダウンジャケットと、スキーに使うような手袋をしていたが、それ以外は普段着なので凍り付き掛き、余計に体温を奪う。頭にいたっては何も付けていない。そもそも基本的に車移動なので、そこまで重装備ではない。

車のヒーターを付け、暖をとりながら震える手で家に電話を。

今からそちらに向かうと父親が言う。しかし、こんな場所で車を脱出させる作業ができるとは思えない。思えないが、現状他に出来ることもない。

仕方ないので、父親に頼むことにして、到着を待つ。

その間、管理に連絡は取れないか試しに電話をしてみたところ、寝起きではあったが何とか繋がった。
やはり状況を報告し、遅刻すると伝える。状況が状況なので、無理をしてまで出勤する必要は無いと言われたが、可能な限り早く出たかった。

なにしろ、車に乗っているのに身動きが取れないというこの状況が、思っていたよりはるかに心細い。外部と連絡が取れる携帯電話が、これほどありがたく思えたことは無いな。
ついでに車の機能自体は生きているので、暖も取れるし。

ただそれと同時に、もし携帯の電池が切れたら、もし車のガソリンが底をついたら、と言う不安が内心駆け巡っていた。現にそれは殆ど無いと分かっていてもじゃ。

なにしろ寝るとき、必ず携帯の充電をさせておくからな。何かあったとき切れても困るし。
車のガソリンも、一昨昨日入れたばかりな上あまり使っていないので殆ど満タン状態。

それほどに心細く、不安だった。

そんな中、父親と母親が車で到着。今日は調度よくわしを除く全員が休みなのだそうで。数十メートル後ろに停め、スコップ片手に車に近寄ってくる。

あまりに風が強く、寒いので、まともに動けない。母親は何も出来ずに、放心状態になっており、顔を風除けにする為の手で覆って固まってしまっている。しかしそれでも父親は、必死に雪をどかしてくれた。

・・・・これほど父親の存在が、どれほど力強く大きいのか痛感させられたな。

だが、どかしてもどかしても、再び風で直ぐに埋まってしまうらしく、中々はかどらない。

なかなかドアを開けることが出来ない様な状況なので、わしは外に出れない。誰か一人は車に乗って、バックをさせたりせねばならないので、誰かは残っていなければならんし。

わしと母親が入れ替われば良い様な気もしたが、簡単に出来そうにも無い状況。

父親がなんとか頑張ってくれているものの、全く動かない。運転席側のパワーウィンドを下げようとするが、凍り付いてそれすら出来ない。

幸い助手席側は開いたので、母親と会話が出来た。そこで、取り合えず今日は休むように電話したほうが良い、と言われ、その通りに管理と現場に電話して休むという旨を伝えた。

有給当てて貰えると助かるんじゃがのう。後ほど聞いてみよう。

果たしてどのくらいこの場居たんじゃろうか。

車が動かない理由は、車体が雪に乗り上げてしまい、タイヤが地面から浮いている状態だと言う。なので幾らアクセルを踏んでも、動けない。

父親が車体の下を掘り、その度にバックを試みる。なかりの時間を要して、なんとか動いた。

流石にこれ以上居るのは無理なので、一旦全員家に帰る事にする。

ただ車の中が、一旦雪だらけになってしまっているので、ヒーターを入れた事によって内側が曇っている。それも水滴でびっしり。

フロントガラスを拭きながら、ゆっくりと家に向かう。

行く道を変えれば、仕事に行くことも出来たかもしれんが、結構時間も経ってるし、休むと伝えたので行きづらいし、何より色々ショックが大きくて気力が沸かない。

今日はそのまま休むことにした。まあ、実際わしはろくに動いていないが。本当に父親には感謝じゃ。

父親と母親は、来る前に風呂を沸かしていたらしく、順番に風呂に入っていたな。ただ全然温まらないほど、身体が冷え切っているらしい。

終わってから困ったことが1つ。

あの寒い状況というのが、思いの外大きいショックを母親に与えたらしく、風呂に入った辺りの記憶が全て吹っ飛んでしまっていた。

その為、終わって数時間は、自分は今日休みなのか、朝何食べたのか、何しに外に行ったのか、とずっと同じ事を繰り返し聞いていた。

その度に、姉が冷めた口調で答えてたが。

父親の方は、必死にわしを助けることだけを考えて、車を掘り起こす作業で精一杯だったため、そんな状態にはならんかったようじゃが。

脳の、最近の物事を記憶する部位。確か海馬か。恐らくそれの機能が一時的に鈍ってしまったんじゃろう。
寒かった光景だけは嫌にはっきり覚えているらしいが、それ以降数時間の記憶が完全に無いらしい。

そういえば、後々聞いた話なんじゃが、わしの車の前に停止していた車の先にも、もう一台同じような状況の車がいたらしい。わしは吹雪で見えなかった。

その二台がどうなったかは、定かではない。しかし、風が止まないと出られないのは間違いないとの事。
助けられる余裕も無いしな。

もう今日見たいなのは勘弁じゃ・・・・・明日は別の道通って行くか。
コメント
この記事へのコメント
俺も行くとき車回転したぜヾ( ´ー`) さらにドブ近くの溝にハマって君と同じ状況に…が外出て雪わけて自力で脱出したよーあぶなった 海馬といったら俺のターンだろ(・ω・)/
2008/02/25(月) 15:30:43 | URL | じゃみら #-[ 編集]
大変でしたねι
こちらにも粉雪や暴風は吹き荒れましたがそこまでとは…(汗)
事故にあわなくて何よりですねo(^-^)o
明日出張や帰宅時に十分ご注意下さい!
2008/02/25(月) 16:06:34 | URL | 時月 潤夜 #-[ 編集]
じゃみらへ。

自力で出られるくらいなら、まだマシじゃろうて。

海馬と書いたとき、確かに某社長と同じ名前だと思った・・・・・・・
そしてデネブかお主のどちらかは、絶対食いついてくると思ったぞ・・・・・


時月さんへ。

あれは吹雪きとか、そんな次元ではなかったな。

上、横、下、とほぼ全方向から雪が舞っていたのう。

雪山かと思ったくらいじゃ。
2008/02/26(火) 00:44:42 | URL | ベオース・フェオティール #nmxoCd6A[ 編集]
すごっ( ̄□ ̄;)!!←オイ敬語どうした

全方向とは…(-_-;
心細い理由が余計にわかる気がしましたι
本当事故がなくてなによりです(^_^;)
2008/02/26(火) 16:06:49 | URL | 時月 潤夜 #-[ 編集]
や~俺も遅番の帰りにアイスバーンで滑った事があるけど楽しい…もとい怖かったのぅ(汗
海馬って…社長?
2008/02/28(木) 11:40:27 | URL | デネブ #-[ 編集]
デネブへ。

脳細胞じゃ脳細胞。社長ではない。

確かに字も読みも同じじゃが。

てか、お主まで反応するな・・・・・いや、絶対楽しんでおるな。お主のことじゃし。


アイスバーンだと、ブレーキが無意味になるしのう。タイヤごと滑るし。
曲がろうとして曲がれなかった事が、多々あるのう。
2008/02/29(金) 03:57:17 | URL | ベオース・フェオティール #-[ 編集]
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